藤川宿資料館には3枚の高札が展示されています。いずれも墨が落ちて、そのままでは判読不可能ですが、文字部分が浮き彫りのようになっていて、辛うじて判読された文書も掲載されています。

今回は、藤川宿本陣跡ひろばに再現された高札と併読して何が書かれているかを纏めたいと思います。

なお基本的には資料館内のものを元とし、本陣広場の高札を参考として、資料館内で不明になっていた部分を[ ]で補います。

親子兄弟・博奕等の高札

親子兄弟・博奕等の高札

    定
一 親子兄弟夫婦を始め諸親類も
 したしく下人等に至る迄これを
 あハれむへし主人ある輩ハ[ ]
  奉公に精を出すへき事

一 家業を専にし懈る事なく万事
 其分限に過へからさる事
一 いつハりをなし又は無理をいひ
 惣して人の害になるへき事を
 すへからさる事

一 博奕の類一切に禁制の事
一 喧嘩口論をつつしみ若其[]
ある時みたりに出合へからす
一 手負たるものかくし置へからさる事
一 鉄砲猥に打へからす若違犯の者
 阿らは申出へし隠しおき他所より
 阿らはるるにおゐてハ其罪
 重かるへき事
一 盗賊悪党の類あらハ申出へし
 急度御ほうひ下さるへき事
一 死罪に行はるる者ある時馳せ集る
 へからさる事
一 人売買かたく停止す但男女の
 下人或は永年李或ハ譜代に
 召置事ハ相対に任すへき事
 附
  譜代の下人又ハ其所に
 住来る輩他所へ罷[]
  妻子をももち有[付候]
  もの呼返すへからす
  但し罪科ある者は
  制外の事
右條々可相守之
若於相背者可被行
罪科者也
  正徳元年五月 日
             奉行


駄賃並人足荷物次第の高札

駄賃並人足荷物次第の高札 

    定

御伝馬並び駄賃の荷物壱駄 重サ四十貫目
歩もちの荷物壱人   重サ五貫[]
長持壱丁           重サ三拾貫目
 但し人足壱人持重サ五貫目の積り
 三拾貰目の荷物ハ六人して持へし
それより軽き荷物は貰目にしたかひて
人数減すへし以外いつれの荷物も
これに准すヘし
  乗物壱丁          次人足六人
  山乗物壱丁         次人足四人
一 御朱印伝馬人足の数御書付の外
 多く出すへからさる事
一 道中次人足次馬の数たとひ
 国持大名たりといふとも[]
 家中共に東海道ハ一日に五拾人
 五拾疋に過へからす此他の
 伝馬道ハ弐拾五人弐拾五[??]
 限るヘし但江戸京大坂の
 道中におゐて人馬共
 追通へからさる事

一 御伝馬駄賃の荷物ハ其町の
 馬残らす出すヘし若駄賃馬
 おほく入時ハ在々所々よりやとひ
 たとひ風雨の節といふとも
 荷物遅々なき様に相はからふへき事
一 人馬の賃御定之外増[銭を]
 取においてハ牢舎せし[め]
 其町の問屋年寄は過[]
 として鳥目五貫文つつ[出すへし]
 役者は家壱軒より百文[]出すヘき事
   附
    往還の輩理不尽の儀を申かけ
    又ハ往還の者に対し非分の事
    あるへからさる事
   右條々可相守之若於相背者
   可為曲事者也
    正徳元年五月 日
               奉行


きりしたん訴人の高札

きりしたん訴人の高札

    定
 きりしたん宗門ハ
 累年御制禁たり
 自然不審成者有之ハ
 申出へし御ほうひとして
 はてれんの訴人     銀五百枚
 いるまんの訴人     銀三百枚
 立かへり者の訴人     同断
 同宿並宗門の訴人    銀百枚
右之通下さるへしたとひ
同宿宗門之内たりといふ
とも申出る品により
銀五百枚下さるへし
 かくし置他所より
 あらハるるにおいてハ
 其所之名主並五人組迄
 一類共に罪科におこ
 なはるヘき者也
 正徳元年五月 日
           奉行


高札の大きさが重要度も表すものだとしたら、一番大きなのが「親子兄弟・博奕等の高札」で、一番小さいのが「きりしたん訴人の高札」です。そんなところにも当時の世相を読み取ることができそうですね。